そのスクワット、反り腰を作っているかもしれません

「スクワットするとき、膝はつま先より前に出さないように」——ジムや動画で、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。膝を守るための鉄則として、広く知られています。
ところが、この教え通りにやることが、かえって腰に負担をかけている可能性があります。良かれと思って守っているルールが、反り腰や腰の張りの原因になっているとしたら——今日はその話をします。
■「膝を前に出さない」と、身体はどう動くか
膝を前に出さないようにしゃがもうとすると、すね(下腿)が地面に対して立ったままになります。この状態でバランスを崩さずにしゃがむには、身体はどこかで帳尻を合わせなければなりません。
そこで起こるのが、お尻を後ろに引き、上半身を前に倒す動きです。膝の前方移動を止めたぶん、股関節を深く曲げて前傾することで、身体の重心を足の上にとどめようとするわけです。
つまり「膝を前に出さない」という制限は、自動的に「上体を前に倒す」という代償を生みます。ここまでは、運動のメカニクスとして自然な流れです。
■前傾が強まると、負担は腰へ移る
問題は、この前傾が強まったときに、どこが働くかです。
前に倒れた上半身を支え、立ち上がるために、背中側の筋肉——脊柱起立筋をはじめとする背筋群が強く動員されます。ある研究では、膝の前方移動を制限したスクワットでは、膝への負担は減る一方で、股関節にかかる負担が大きく増えることが報告されています。そしてこの負担は、最終的に腰へと伝わっていきます。
さらに、前傾した状態から立ち上がる局面では、腰を反らせて上体を起こそうとする動きが出やすくなります。これが繰り返されると、腰椎が過度に反った状態——いわゆる反り腰的な負荷が、腰にかかり続けることになります。膝を守ろうとした結果、その負担がそっくり腰に移ってしまう、というわけです。
■そもそも、膝は前に出てもいい
ここで押さえておきたいのは、「膝を前に出してはいけない」という教え自体が、実はかなり大雑把なものだ、ということです。
深くしゃがむとき、膝がつま先より前に出るのはごく自然な動きです。むしろ、足首がしっかり曲がって膝が前に移動できることは、スクワットを安全に行ううえで大切な要素でもあります。膝が少し前に出ることで生じる負担は、健康な膝であれば十分に耐えられる範囲だと考えられています。
もちろん、膝に痛みや不安のある方は別の配慮が必要ですし、適切な膝の位置は、足首の硬さや脚の骨格の個人差によっても変わります。「全員が膝を絶対に前に出すな」という一律のルールが、かえって身体に無理をさせているケースは少なくありません。
■大切なのは、その人に合った動き方
では、どうすればいいのか。答えは「膝を前に出す・出さない」という二択ではなく、その人の身体に合ったしゃがみ方を見つけることにあります。
足首が硬くて膝が前に出にくい方は、まず足首やふくらはぎの柔軟性を整える。股関節をうまく使えていない方は、お尻の筋肉が働く感覚を取り戻す。こうした土台を整えたうえで、腰に頼らずに立ち上がれるフォームを身につけていく——この順番が大切です。
自己流のスクワットで腰が張る、という方は、フォームそのものよりも、その手前の身体の状態に原因があることも多いのです。GRANDSTONEでは、ストレッチで可動域を整え、マシンピラティスやトレーニングで正しい身体の使い方を引き出しながら、一人ひとりに合った動き方を一緒に探していきます。
膝を守るはずのルールで、腰を痛めてしまう前に。まずは、自分の身体に合った動き方を知ることから始めてみませんか。
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